同窓会ガイダンス(先輩からのメッセージ)を終えて
今年三月の卒業生に対する同窓会ガイダンスにて、先輩からのメッセージを伝えることになりました。
通常、一時間半から二時間の講演を受け持っているため、逆に十分間でお話しするというのはあまり慣れていない。
どうしようかと迷ったあげく。そうだ! 伝えたいことをワンペーパーにして、それに基づいて結論を言って、
あとはアドリブでなんとかごまかそう。早速、ワンペーパー作り。
えっと、テーマは、現在、「スモールワールド・ネットワーク理論」を題材にして、東北地域は、
スモールワールドが弱く、その影響で地域の活性化が遅れているのではないかという仮説のもとに、
東北大学・宮城大学・東北文化学園大学・石巻専修大学の経営情報学会の先生方と研究している内容をもとに、
社会に入った場合の人とのネットワークの話をしよう。っと。
ということで、テーマは「スモールワールド・ネットワーク(狭い世界)を広げよう!」に設定。
スモールワールドとは、広いようで狭い世界という意味。人は自分の知り合いを6人以上介すと世界中の人々と
間接的な知り合いになれるというもの。強い紐帯(家族や親友)は、同じ情報を共有していることが多く、
新しい情報を得られない。弱い紐帯(知り合いや知人の知人)は、自分の知らない新情報をもたらしてくれる
可能性が高い。このことから、ひとつのネットワーク上で多くのつながりを持つよりも、様々なネットワークへの
つながりを持つ方が、個人が何かを成し遂げるときにより有益である。
より開かれたネットワークには、社会的空隙や弱いつながりが多く含まれており、冗長なつながりに満ちた
閉鎖的ネットワークよりも、より多くの新しいアイデアや機会に恵まれる可能性がある。よって、これから社会に
旅立つ不安はあるが、高専の5年間一貫教育は、先輩・後輩との繋がりを構成するうえでも恵まれた環境であり、
その環境は後々社会でも役立つもの。大学卒や大学院生卒に負けない精神面も併せ持っているので、自信を持って、
スモールワールド・ネットワークを広げ、何事にもチャレンジしてください。と明記(なんとも完璧なワンペーパー)
なのに、卒業生と同じで今年成人式を迎えた一番上の娘に、「明日、お父さんが電波高専に行って説明するペーパーだよ。」
(自信ありげにどうだ)「お父さん、私だったら、この内容だと一分間で飽きるかも」(ガーン 自信喪失)
でも、今更書き直すのも嫌だし。まずは、このペーパーで説明。結論を一分間で、あとは経験をもとに残りの九分間、
アドリブでいこう。
ついにガイダンスの時間。ありゃ、ワークショップ大講義室には、前側に時計が二個あるのに後ろ側にはない。
(まずい、時計をみながら時間調整が出来ない)
いよいよ同じく先輩アドバイスを行った藤沢沙織さんからバトンタッチ。(ありゃ、予定の時間よりも三分ほど余って
いるじゃないか。ラッキーかも)
皆さん、こんにちは。只今、ご紹介のありました電波通信学科五期卒、昭和五十五年卒の佐藤賢一です。
よろしくお願いします。電波通信学科五期といってもイメージが掴めないと思いますので、丁度、後ろ側のドアにいる
高田先生の一つ下の学年となります。(しまった。台本にない余計なことを言ってしまった。台本どおり進まなければ)
しかし、佐々木同窓会長が詰め入りの学生服の話を会長挨拶でしていたので、どうも周りのダウンジャケットが気になって
しかたがない。それと、ガイダンスの前、学生時代によく通った喫茶店「マリモ」で特製ナポリを食べたせいか、
昔の学校気分や寮生活気分に戻っているようだ。(まずい、頭の中がパニックっている)そう考えていると自然に口から
「私の時代はどんぶくを着ている人が多かった。校舎が出来たばっかりだったので、学校と寮の間は舗装がされてなく、
雨や雪の日は長靴を履いていましたよ。グランドもなく、サッカー部はそこの横のところで練習していましたよ」なんて
昔話を語り始め本題から脱線。(やばい、話を戻さなければ) 私の今日のお話したい内容はそのワンペーパーの
とおりで・・・、昨日、娘に一分間で飽きると言われたので、一分間で説明。
残りの時間を私の経験をもとにスモールワールド・ネットワークについてお話しさせていただきます。昭和五十五年に
東北電力株式会社に入社して・・・。「皆さんは、寮の点呼の代返は経験したことがありますか?
私の一つ上の先輩に寮の点呼の代返をお願いされ、先輩のどんぶくに着替えて何度かやっていましたが、その先輩が
私の入社する一年前に東北電力に入社しており・・・。」(しまった。また脱線気味。話を戻さなくては)入社した際の
同期の関係や同窓生の先輩・後輩との関係は後々、重要な資産となる・・・。東北電力を早期退職しても、その時の同期との
関係は活きており、現在の仕事に役立っている・・・。
また、現在、経済産業省の推進資格である「ITコーディネータ」を活かし、経営とITに強いコンサルタント会社を
経営しておりますが、たびたびITコーディネータ仲間と何気ない会話をしていると、懐かしさを感じる時があり、
その時に「もしかして、○○さんは、四年間の学校ではなく、五年間の学校を卒業していませんか?」と尋ねると、
「なんでわかるの?」って言われ、「実は、○○高専卒なんだよね」と聞いて意気投合・・・。その高専卒の友達の和に
入っていくとまた新たな情報が。というようにスモールワールド・ネットワークを説明。
チラッと前側にある時計をみると、(そろそろ時間。締めに入らなければ。ということで)
皆さんは、これから社会に旅立つ不安はあるが・・・。井の中の蛙にならず、どんどん弱いネットワークを強くし、
インターネットのバックボーンのようにどんどんスモールワールド・ネットワークを広げていってください。
(なんて、かっこいいこと言いながら、最後に当社を売り込もうかな)
「入社して三ヶ月くらいはブルーな気分に落ち込むかも知れません。私が望んだ会社はこんな会社じゃなかったとか、
やっぱり仙台に戻りたいなぁというような気持ちになった時は、いつでも相談に乗りますので、資料に記載にある
私のメールアドレスか電話をください」
(ふぅー。話足りない部分もあったが、なんとか時間内で終えることができた)
ということで、なんとか大役を終えることができました。学校を卒業して二十八年。現実と昔の想い出と行ったりきたり
でしたが、とても新鮮な気分でした。来年、このような気分に浸りたい人は、是非、藁科先生に立候補してください。